協同組合土岐美濃焼卸センター
岐阜県土岐市にある美濃焼卸センター。
通称「織部ヒルズ」と呼ばれているこのエリアは、陶磁器関連の流通センターとして、地場産業の振興と活性化に大きな役割を果たしてきました。
今回は、当組専務理事の佐々木隼人氏にお話しをお伺いしました。
日本三大やきものまつりの運営
センターの一番大きな取り組みとしては、5月のGWに開催される「土岐美濃焼まつり」です。
3日間で約15万人が訪れる日本三大陶器まつりで、組合では申込の取りまとめから、運営まですべてを執り行っています。
秋には、団地内で小売りを行っている10店舗を開放解放して「織部ヒルズ陶器市」を開催しています。
土岐美濃焼まつりは、残念ながらコロナ禍は開催できずコロナ明けの476回目は12万人と来場者が減りましたが、48回目だった今年の5月には15万人が来場、戻りつつあると実感しています。
15万人規模の大きな催しのため、交通規制に伴う警備配置やシャトルバスなどの運営費用が必要となります。運営画資金は出店料や行政からの補助金で賄われますが、それを上回るコストがかかり、カバーできなくなってきているのが現状です。
来場者が増えるに伴い、駐車場スペースを1000台増加、それに伴う警備員の強化などが求められました。
駐車場の一部有料化や、イベントの配布資料に広告を募って掲載することでコストを賄えるような工夫をしています。
また、年々美濃焼まつりへの出店の様子が変わりつつあると感じています。
陶磁器部門での出店は86店舗が81店舗へと減少、代わってクラフト部門が156店舗から174店舗へと増えていく傾向にあります。
もともとは美濃焼を外に発信する目的で、卸センターの団地のために起ち上げられた陶器まつりでもあるため、多くの出店者が全国から来てくださることがありがたい反面、本来の目的に立ち返り、陶器まつりの「あり方」をもう一度考えなければいけないと感じています。
2024年より始動 「うつわさがし」プロジェクト
新たなプロジェクトとして、2024年度「うつわさがし」と銘打った陶器まつりが始まりました。
うつわさがしのプロジェクトチームは、土岐市内の各所で催される陶器まつりの代表者1名ずつと関係機関等で構成されました。
もともとはバラバラに開催されていた「織部ヒルズ陶器市」「下石どえらあええ陶器祭り」「駄知どんぶりまつり」「美濃焼伝統工芸品まつり」の祭りを同日開催でつなげ、土岐市を盛り上げようという取り組みで、1年前から準備が始まりました。
「つながる秋の陶器まつり うつわさがし」として、シャトルバスなどで各まつり会場をつないだこのプロジェクトでは、裏印帳を独自に作成し、各会場の店舗を巡ることで唯一無二の裏印集めを提供するなど、幅広い年齢層が楽しめる付加価値をつけた取り組みとなりました。
維持と進化の両立を目指す
器が好きで行く先々でつい手に取ってしまう、という佐々木氏にとって、やきものは生活を豊かに彩るものだといいます。
コロナ期を経て、イベントの様変わりや、代替わりのタイミングという光景を目にする中、いま自分たちは過渡期の真っただ中にあると考えています。
イベントの継続をどのように行っていくかという点は、課題の一つだという佐々木氏。
昨今、維持すること自体が大変な中、継続だけを目指すのではなく、変化を取り入れていきたいといいます。
守りながらも進化させていくために、何をどうすればよいのか、メンバーと丁寧に協議を重ねながら一歩一歩進めていきたいといいます。
協同組合土岐美濃焼卸センター
〒509-5171 岐阜県土岐市泉北山町3-1
Tel:0572-55-1322
HP:https://www.oribe-hills.com