瀬戸焼のルーツは平安末期の灰釉陶器
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「せともの」まち愛知県瀬戸市
瀬戸市は、名古屋市の東約20kmに位置し、日本を代表するやきものの産地です。日本では陶磁器製品の総称として使われている「せともの」の「せと」は瀬戸のことを指しています。
名古屋市中区栄の名鉄電車瀬戸線で約30分、終点「尾張瀬戸」駅の前に流れる瀬戸川を挟んで街が展開しており、市内には約350社の陶磁器工場があります。
瀬戸川の北の丘陵地では、瀬戸焼の原料となる「陶土」やガラスの原材料 となる「珪砂」の採掘場があります。瀬戸では「グランドキャニオン」 と呼ばれており、壮大な風景が望めます。
街全体が、陶都として続いてきた瀬戸の歴史的な風格が感じられます。
「せともの」のルーツ
「せともの」のルーツは、瀬戸市の東にそびえる猿投山のふもとで、五世紀後半に生産された「須恵器」が始まりです。平安時代に「灰軸」を用いたやきものを生産、現在まで連綿と生産されている六古窯の一つと言われています。
瀬戸焼の陶祖の加藤四郎左衛門景正は今でも「籐四郎さん」と呼ばれ、遺徳をしのび「陶祖まつり」を4月に開催しています。
籐四郎は1223年曹洞宗の開祖道元禅師に随行して中国に渡り、やきものの技法を学び帰国。製陶に適した陶土を求めて全国を回り、瀬戸で発見して窯を築き、瀬戸焼の開祖となったと言われています。
また加藤民吉は、江戸時代初期に九州有田などで磁器の生産が始まり、瀬戸焼が衰退したため、1804年単身九州に渡り、天草、高浜、三川内等で3年間修行して磁器技法を習得。瀬戸の染付磁器の発展に寄与した功績から、現在は「磁祖」として窯神神社に祀られています。昭和7年からは、「磁祖・加藤民吉」を称える「せともの祭」を9月に開催しています。
進化する製品技術
瀬戸焼は、一般食器類、タイル、伝統工芸品、セトノベルテイ、ファインセラミックなど多様な製品を生産しています。平成24年には「瀬戸焼」が地域団体商標として登録されました。
タイルは主に建物の外壁・床等に使用され、特にデザイン性が重視される全国の建築物に多く活用されています。セトノベルテイ(陶製の置物)は戦後、輸出が好調でしたが、円高の影響で衰退。現在はキャラクター製品や高級なレース人形が主に生産されています。ファインセラミックは、電子機器の部品に使用されているため需要が増加。瀬戸焼の新技術が革新的に伸びています。
このほか「Re瀬ッ戸」(リセット)は、不要となった陶磁器を粉砕したものを約50%の割合で混ぜた陶土を開発し、それを原料にして製造した新しいやきものです。資源の再使用の観点から注目されています。
御深井
灰釉
古瀬戸
黄瀬戸
鉄釉
志野
織部
瀬戸染付焼
中国宋磁の強い影響を受けた「古瀬戸」
藤四郎が中国から持ち帰った製陶の技法は、鬼板を砕き、木灰と調合して焼くというものでした。その後、安土桃山時代になると、利休、織部、遠州などの茶人によって、織部黒・瀬戸・志野・織部・黄瀬戸などの風雅な茶陶が生み出されるようになったのです。現在も茶褐色の釉薬のかかった茶入れや水指など、たくさんの作品がありますが、いずれも伝統を守って古典的であり、渋いクラシックなものが多いようです。
↑鉄釉の一種で、黒の茶褐色の斑点
国の伝統工芸品・赤津焼
今も昔ながらの製法を守り続ける赤津焼は、日本六古窯のひとつに数えられる歴史あるやきもの。瀬戸市街の東方・赤津地区で焼かれ街中の大規模な窯業工場とは対照的な趣を見せています。赤津焼の特色は、灰釉・鉄釉・古瀬戸釉・志野釉・織部釉・御深井(おふけ)釉など、平安の世に始まった7つの釉薬のいずれかを使用すること。さらに、削り目・布目・へら目・透かし彫りといった12の装飾技法。そして、すべて手づくりであること。良質な陶土に恵まれた赤津では、今も陶工がひとつひとつろくろを回し、丹念に作り上げています。
買い物、散策、見学など盛りだくさん
尾張瀬戸駅の近くには、家庭・業務食器をはじめインテリア製品等陶器専門店が営業しており買い物客で賑わっています。
公共施設「瀬戸蔵」内の「瀬戸蔵ミュージアム」では、陶器の歴史、エ場の様子、貴重な作品の展示があり、やきものの産地・瀬戸が体感できます。また、1階の「セラミックプラザ」では各種瀬戸焼を販売しています。近くにある「新世紀工芸館」では、陶器やガラスの研修生の制作現場が 見学できます。
瀬戸川にかかる織部や志野で飾りつけされた橋を巡るのも人気があります。記念橋の欄干には陶芸作家の作品も展示されています。
「窯垣の小径」では、窯で使用済の陶板、匣鉢(こうばち、陶器を焼くときに使う容器)を幾何学的に組み合わせた石垣や壁も人気があります。また、資料館やギャラリーも必見!このほかにもまだまだ見どころはたくさんありますので、現地で配布されている観光パンフレットや現地の観光案内ボランティアをご利用下さい。
赤津焼会館
歴史民俗資料館
瀬戸陶磁器センター
愛知県陶磁器資料館
品野陶磁器センター
せともの祭
陶祖祭
瀬戸陶磁器卸センター
産地の団体
- 愛知県陶磁器工業協同組合
- http://www.aitohko.com/
- 瀬戸陶磁器工業協同組合
- http://www.setomono.or.jp/
- 品野陶磁器工業協同組合
- http://www.toujiki.or.jp/
- 赤津焼工業協同組合
- http://www.akazuyaki.jp/
- 瀬戸陶磁器卸商業協同組合
- http://www.aiweb.or.jp/tosyo/