第7回: 南瓜の似合う器
木村ふみのうつわトーク
9月から10月、11月と寒さに向かう季節になると根菜類がとてもおいしくなります。9月の芋名月にはじまってさつまいも、蓮根、ごぼうなど、どんどん旨みを増してくるようです。
食卓にもそれらの根菜類が炊き合わせや煮物として登場します。炊き合わせは、料亭などで蓋付の煮物碗などで供され、美しい染付や赤絵など蓋裏にまで文様が描きこまれたものなどをよく見かけます。
我が家では、家庭的に南瓜の煮物やすり流しなどがポピュラーですが、煮物は器によって様々に表情が変わります。
ザクザクとなた割のようにしたものは信楽や民窯など厚手のザックリとした器が良く似合いますし、少し面を取って繊細に炊き合わせたものは、磁器物の染付や雲錦の深鉢に少なめに盛り付けます。冷し鉢にして青磁の器に入れたりスープのようにすり流しにしたものは、小ぶりの湯呑に少量入れ、懐紙で蓋をし紅葉の葉を一ひらのせると秋酣たけなわといった感じになります。
西洋では南瓜は10月31日「ハローウィン」のシンボルですが、大きな南瓜をランタンにして、玄関に飾りパンプキンパイをいただきます。
器によって表情を変える日本の南瓜のほうが、なんだか芸達者に思えるのは身びいきかもしれません。
家の中にある陶器の鉢を、もう一度見直してみてはいかがでしょうか。