第1回: 「小皿」の話

木村ふみのうつわトーク

kozara毎日のように食卓に登場する小皿は実に便利な器です。
その原点は、本膳料理の本膳の中央に置かれた猪口と呼ばれる器だと言います。
本来猪口には塩が入っていて、ゆでた野菜やご飯に塩をパラパラとふって食べていたようです。
やがてこの猪口は手塩皿というものに変化していきます。手塩皿とは文字通り塩を入れた皿で、これが小皿のはじまりです。昔から「手塩にかけて育てる」と言いますが、これは「ご飯を食べさせる」ことを意味しています。
今日では天丼など丼物の脇に必ず香の物が入って添えられる小皿には、このような物語があったのです。今でも小皿には塩気のある漬物や昆布、梅干などをのせるのもうなずけます。
最近では、小皿も様々なデザインや形も増え、その使い方も色々です。小皿に一口のチョコレートやマカロンをのせてコーヒーに添えたり、小皿に少量のオードブルをのせ、いくつもの小皿をトレーにのせワインのおともにしたりとたくさんのバリエーションを見ることができます。
さらに小さな石鹸をのせてソープトレー代わりにしたり、リングやイヤリングを入れたり使い方が益々多様になってきています。
小皿のサイズは直径5センチから9センチ位まで、形は丸が基本ですが四角、八角、長方形、花びら、鳥の形など様々です。
くらしの中のアイテムの一つに、もう一度小皿の魅力を見直してみてはいかがでしょうか。

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