第3回: 菊の節句

菊の節句 九月九日は五節句の一つ、重陽の節句です。
 九が重なる重久が、長久に通じ長寿を願う行事です。この日は菊の花びらを浮かべた菊酒を飲み、栗御飯や栗餅、地域によっては、そばや甘酒で祝います。
 菊は別名翁草とか千代見草とも呼ばれ、長寿をもたらすめでたい花で、器の文様にも多くもちいられています。
 菊花型のお皿や菊花文、菊の形をした蓋物なども見ることができます。日本の器は同じ柄でそろえることを好みませんが、菊と梅だけは「尽し」て良いことになっています。
 その為この日は「菊尽し」の器で華やかに食卓を彩るのです。菊の花も飾りますが菊の花には「被綿(きせわた)」と言って、綿をかぶせその綿にふくまれた朝露で顔を拭くと若さを保ち長寿になると言い伝えられ、特に女性は好んで行なわれたそうです。昔から行われたこの行事を今日のくらしの中でも、よみがえらせてはいかがでしょうか。
 菊の酒盃に花びらを浮かべ、菊文の飯碗に栗御飯を入れ、菊花皿に菜を。小さな菊の蓋物には珍味を入れて食卓に並べるのも一興です。