第9回: 飯碗のこと

飯碗 (十草)
飯碗 (十草)
夫婦茶碗 (網目)
夫婦茶碗 (網目)
 11月23日は新嘗祭(にいなめさい/しんじょうさい)です。今日では勤労感謝の日となりましたが、本来は収穫を感謝する日です。
 「新嘗」とはその年に収穫された新しい穀物のことで、神様に感謝と共にお供えをし、自らもいただきます。日本の文化は、米と水の文化で様々な行事やお祭りなども五穀豊穣を願うものが多いいことでも知ることができます。この古くから伝わる「新嘗祭」は身近なくらしの中でもかかわってきています。11月になると新米をいただく喜びです。日本人のお米、御飯に対する思いこだわりはひとしおで、銘々が自分の飯碗をもっていることでもわかります。
 飯碗、ご飯茶碗はお箸や湯呑と同じように属人器といわれ特定の人が使うという日本独特の食文化の一つです。各自銘々が自分の飯碗を持つことから、そのサイズや柄も様々です。代表的なものには夫婦茶碗がありますし、子供用のキャラクター柄も今日ではポピュラーです。一般的に飯碗の柄はあきのこない十草や健康長寿を願う網目、四季の花などがあります。
 手ざわり口当たりにもこだわって、土物や磁器物など近頃では季節によって使い分ける方もいるようです。選び方としては自分の手になじむことが第一で、手に持って選ぶことが大切です。毎年新米の季節に新しい飯碗に買い替えるほど、こだわる方もいるようです。炊き立ての新米を手になじんだ飯碗で、香りを楽しみながら味わうのは、日本人ならではの古来からの喜びです。